性格特性論ってなぁに?~ビッグファイブ(5因子モデル)~

こんにちは。
前回の記事では新しい性格分析のことにも触れましたが、早速今回は久々の基礎講座その1です!
久々なのでわかりやすく書けているか不安ですが、お付き合いいただけるとありがたいです。

新しい性格分析:性格特性論

おさらい:性格類型論のメリットとデメリット

前回の記事では、性格類型論を使ってキャラクターをカテゴライズした分析は、昨今のMBTI(16Personalities)の流行によりキャラクターのイメージ低下につながる危険性が大きいため取り扱いを終了した、とお話させていただきました。
よろしければ合わせてご覧ください。

簡単にまとめますと、性格類型論は同じような特徴を持った人がジャンル分けされる形式のパーソナリティー分析となります。特徴が平均化されてキャラクターの特徴を捉えやすく、キャッチーでわかりやすいといったメリットがあります。
ペンとハサミは全く違う道具だけど、「文房具」というグループ分類があると、用途がわかり特徴が捉えやすい…みたいな感じですね。

一方で、このように性格類型論は要素を平均化し大まかな特徴を捉えることにフォーカスした検査であることから、特定のタイプの人に対して「〇〇なタイプだからダメだ!」といった偏見が生まれやすいという、問題点もございます。

そこで、このリニューアルを機に、より深く、そして正確な性格分析ができる性格特性論を取り入れることにしました!

尺度で捉えるパーソナリティ分析「性格特性論」

性格特性論とは、性格特性をいくつかの要素に分け、それぞれの要素の度合いから個性を捉えていく性格分析です。
性格類型論は広く一般的に親しまれていますが、現在盛んに研究が行われているのは性格特性論であり、学術的には性格分析のメインストリームと言えるでしょう。
特に多くの研究で採用されている「ビッグファイブ(5因子モデル)」は、外向性(社交性やアグレッシブさ)、神経症傾向(不安やストレスの感じやすさ)、開放性(独創性や知的好奇心の高さ)、協調性(思いやりや温かさ)、誠実性(勤勉さや秩序感覚)の5つの主要な因子で構成されており、個人の性格をより多角的に捉えることができるという点が特徴です。

類型論とは目的も方法も異なる性格分析ですが、いちばんの大きな違いは、類型論がタイプ分けをゴールとし大雑把な傾向を理解するのに対し、特性論は各要素の組み合わせとその尺度(レベル)を見て性格を詳しく把握するというところにあります。

  性格特性論 性格類型論
目的 個々の特性の度合いを詳細に把握 タイプ分けによる大まかな傾向の把握
方法 さまざまな特性の組み合わせと度合いで個性を説明 いくつかのタイプに分類
メリット 個人の特徴を詳しく説明できる
科学的根拠に基づいている
かんたんで分かりやすい
論理的
デメリット 複雑で理解しにくい 個人の多様性を捉えにくい
中間タイプを示しにくい
代表的な理論 ビッグファイブ(5因子モデル) MBTI

わかりやすい例えはゲームのパラメーターでしょうか。
ポケモンのようなゲームだと「こうげき」「すばやさ」「HP」…といった要素があってそれぞれどの程度備わっているが表されていますが、このように人間の性格も特定の要素がどの程度備わっているかを見るわけです。
性格版のステータス表みたいな感じですね!

具体的にどんな測定ができる?

MBTIとビッグファイブでは性格を見るためのレンズが違うと捉えるのがわかりやすいです。
MBTIの場合、性格を16種類のタイプに大きく分類するため、ひとつひとつの特徴よりもタイプ全体の平均的な傾向に着目します。例えば、ESTP型であれば「社交的で行動力がある」というような一般的な特徴で括えられます。
つまり、敢えてぼんやりして見えるレンズを使って「だいたいこんな形!こんな色!」と捉える性格検査となります。
一方でビッグファイブの場合は、性格の要素の組み合わせや度合いを細かく捉えて分類もしないため、俊敏でさっぱりとしとした性格でカラッと明るいが、負けず嫌いで情熱的な面もあるといったように、相反する特徴を同時に持っていることも測定できます。
つまり、顕微鏡のような細かく見えるレンズを使ってひとつひとつの特徴を細かく捉えていくイメージですね。

性格特性論「ビッグファイブ理論」をかんたんに紹介!

5つの主要因子

今回はまずは入門編ということで、今回は主要となる5つの因子を超簡単に説明していきたいと思います!
皆さんもぜひ「自分はどちら寄りかな?」と考えながら読み進めていければと思いますが、MBTIのように「白か黒か」の二元論ではなく、「やや高いかな?」「どちらでもなさそうだな」といった中間値も合わせて考えてみてくださいね。

外向性|Extroversion

外向性は外界との関わりのレベルを示しています。
これは「外的刺激をどのくらい必要とするか?」という指標です。

  • 外向性の高い人

外の世界からエネルギーを得ることを必要とします。ゆえに社交的、活発であり、新しい体験に楽しさや喜びを感じます。例えば新しい出会いを楽しんだり、賑やかな場所を好んだり、と外的な刺激に対して積極的です。

  • 外向性が低い人

外の世界からエネルギーを得る必要がほとんどありません。そのため、静かで集中できる環境を好みます。外向性が低い人にとっては新しい出会いや賑やかな場所は刺激が強すぎて、心が落ち着きません。熱を冷ますような、安らげる行動を好みます。

神経症傾向|Neurotic tendencies

神経症傾向とはネガティブな物事に対する感度の高さを示しています。
簡単に言うと、「悩みやすさ」「不安になりやすさ」の度合いです。

  • 神経症傾向の高い人

ネガティブな物事に対して高い感度を持つため、身の回りの危険な出来事や不安材料に対して高い危機感を持ちます。小さなことで不安やストレスを感じやすかったり、失敗を恐れる傾向がありますが、その分危険を察知し慎重に行動することができます。

  • 神経症傾向が低い人

ネガティブな物事に対して鈍感であり、小さなことで不安を感じたりストレスを感じづらく、情緒が安定しています。不安や危険を軽視し能天気な傾向がありますが、そのぶん幸福度が高いです。

開放性|Openness to experience

開放性は知的好奇心や創造性、美的感覚などを示しています。
直訳すると「経験への開放性」となるため、単純に「幅広い経験を好む人」と解釈されがちですが、単に経験を重ねるだけではなく、その経験から深い意味や洞察を引き出そうとする傾向と捉えると良いと思います。

  • 開放性の高い人

新しいアイデアや概念を生み出す独創性や、既知の知識や経験にとらわれず新しい可能性を探求しようとする未知への探究心が強いという特徴を持ちます。目にみえる顕在的なものよりも、より深くにある潜在的なもの、抽象的なものを察知し、それについて深く考えることを好みます。

  • 開放性が低い人

空想や理想論、抽象的なことよりも、現実的、具体的であることを重視し、論理的な思考に基づいて行動するという特徴を持ちます。新しい方法よりも、既に確立された堅実なやり方を選ぶことを好むため、効率的です。

開放性のスコアは、中程度のスコアを持つ人が多いとされいますので、高・低どちらでもないなぁと思う方も多いかもしれません。

協調性|Agreeableness

協調性は対人関係の傾向を示しています。
「どれくらい他者と仲良くやるか?」の指標です。

  • 協調性の高い人

親切で思いやりがあり、温かく献身的です。他者と協力しようとするため、一般的に人から好かれます。他者との対立を避け、他者の意見を肯定的に受け入れます。

  • 協調性が低い人

自分の意思を持ち、意見を率直に主張することを好み、堂々としています。批判的思考力が高く、独自の考えを持つことを大切にします。

誠実性|Conscientiousness

誠実性は自己コントロール性を示しています。
自分の衝動をいかに制御し実行できるか?を評価します。

  • 誠実性の高い人

長期的な目標を策定し、計画を立て、達成するために一貫して取り組むことを好みます。「予測できること」と「コントロール感」を重視するため、準備が整っている状態や、整理整頓された環境を好む傾向があります。

  • 誠実性が低い人

目標に向けて計画を立て実行するよりも、目の前の状況に合わせた柔軟な対応を好みます。決まり事や習慣を好まず、固定観念にとらわれないため、状況に合わせて行動を変える傾向があります。

ちょっとだけ補足

どの因子も高い/低いの二択ではなくその中間の値となる場合もありますし、両方の特徴をあわせ持った人もいて、そういった曖昧さも測定することができます!
またそれぞれの因子は高いから良い、低いから良いというものではありません。
それぞれに長所と短所があります。

このように「どちらが良い」といった基準はありませんが、所属するコミュニティや文化によって望ましいとされる特徴、価値観があります。
海外に移住した人がよく「自分の意見が言えるようになった!」と言っているのを聞くかと思いますが、これはその典型例でしょう。
このように人は、周囲の環境、文化によって振る舞いを変えるという生存戦略を取ることもあります。
大切なのは、様々な人がいることを理解することです。

参考に簡易テストを試してみたいという方はこちらがおすすめです。

まとめ

いかがでしたか?
今回は基礎的な内容ということもあり、簡潔にお伝えいたしましたがもう少し奥深い理論でもあるので徐々にご紹介できればと思います。
とはいえビッグファイブ理論はどんどん進化している研究でもあり、今後新たな知見や研究結果が明らかになるかもしれません!

この記事を書くのに1ヶ月以上もかかってしまいましたので、次回からはそろそろA3!の話をしたいなぁと思います!

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さえこ
「あなたの日常に、コペルニクス的転回を」をコンセプトに、独自の視点で情報発信をしています。 取るに足らないようなありふれたコミュニティーやカルチャーの研究、分析など。